
メッセージ夏季休売への想い
夏場の気温上昇によって、
チョココーティングが溶けてしまう
という
問題に対応するため、
夏季はいったん休売いたします。
美冬の外側を覆っているチョコレートは、デリケートで溶けやすい素材。
くちどけの良さが特長で、保管温度は25°Cまで。
パイのサクサク食感を楽しむためにも、冷やして召し上がっていただきたい商品です。
チョコレートが溶けてしまっては、美冬の美味しさを充分に保てません。
チョコレートがかかった美冬は、いったんお休みします。
そのかわり、夏には夏らしい美冬を、みなさまにご提供いたします。
開発チームへのインタビュー
近年、北海道の夏も暑さが厳しくなり、道内各地の観光地で気温30°Cを超す日が続いています。
その影響で、「美冬」のチョコレートが溶けてしまう。
この事態にどう対応したのか、どんな決断があったのか、現場を知るスタッフが当時をふり返りました。
パーク事業部
須藤風香さん
営業部 営業担当
山田貴之さん
北広島工場開発チーム
八木沼さとみさん
営業部 広告販促担当
種市桃子さん
「美冬」に暑さの影響が出たのはいつ頃からですか?
八木沼 開発チームには数年前から「『美冬』のチョコレートの融点(固体が液体になる温度)を少し上げられないか」という要望がきていました。現状25℃以上で溶けるチョコレートをできれば27、28℃まで保持したい、という要望です。でも融点を上げると口溶けが悪くなり味も若干変わってしまうため、原料メーカーとも協力して試作を繰り返してきました。
山田 「美冬」のチョコレートが溶けていることが判明したのは2023年7⽉末。「美冬」を購⼊されたお客さまから、チョコレートが溶けているとの報告を受けました。「美冬」を開封して確認したところ、チョコレートが溶けている状況が⾒つかりました。北海道の夏がこんなに暑くなると想定していませんでした。
どういった対応を取りましたか?
山田 2023年の夏はまず、「美冬」を販売している場所に温度計を設置しました。そのうえで、店舗様によって販売方法を変更しました。25℃以下の店舗様ではこれまで通り常温販売しました。他の店舗様では冷蔵庫内で冷蔵販売させていただくことにしました。そして、残念ながら販売場所等の関係から夏季は販売を中止する店舗様もありました。冷蔵販売の店舗では、冷蔵庫がお客様の目につきにくく、扉を開ける一手間がかかるせいもあって通常より売上が落ちてしまいました。
その翌年、2024年の夏は
さらに思い切った対策を取りましたね。
山田 2024年は5⽉のゴールデンウィーク明けから9⽉末まで、一部の店舗様で「美冬」の販売を中止しました。お客さまにとっては同じ「美冬」が店舗様によって冷蔵だったり、常温だったり、販売⽅法が違うのは疑問を抱かれると思います。店舗様はお客さまにその理由を説明しなければいけないため、それなら思い切って「半年間は一部店舗様で販売中止」と決め、かわりに別の商品を投⼊することを決めました。
須藤 苦渋の決断でしたよね。白い恋人パークでは夏季も「美冬」を販売できていましたが、お客さまが購入された後、外を持ち歩く間は暑いですし、「この商品は溶けない?」と問い合わせをいただくことも多かったので、私たちも今後もし「美冬」がなくなったらどうなるだろう……といろいろ考えました。
山田 代替商品として常温で持ち運びできる焼き菓⼦などの新商品を数種類投⼊しましたが、例年の「美冬」の売上には届きませんでした。特に海外のお客さまは知名度がない商品にあまり関心を示してくれませんでした。これは営業部としても想定外のことで、改めて「美冬」の存在の大きさを実感いたしました。
皆さんにとって改めて「美冬」は
どんなお菓子だと思いますか?
須藤 私自身大好きなお菓子で、ISHIYAのお菓子の中で「白い恋人」に次ぐ知名度を誇り、「白い恋人」の隣には必ず「美冬」が並んでいるイメージです。
山田 私はISHIYAに入社するまで「美冬」を知りませんでしたが、今はいろんなミルフィーユを食べる中で一番おいしいと思っています!
種市 私は「美冬」のパッケージがとても好きで、発売された20年前に当時のスタッフや関係者の人たちが強い思いを込めて作ったことを知り、より愛着がわくようになりました。
八木沼 私は開発担当の立場上いろいろな会社のミルフィーユを食べますが、「美冬」のパイのサクサク感は他にはないと思っています。製造ラインでこのサクサク感を維持するのは、とても難しいんです。特に夏はオーブンの温度調整が難しい。それを日々製造部の皆さんがやってくれて、それにはこれまで蓄積してきた知識や技が受け継がれていると思うと、すごく感慨深いです。
発売から20周年を迎えた美冬は、2025年5月に夏場の環境変化に対応した新商品を発売します。次回は、新商品の開発秘話をお届けします。