3種の味のハーモニー

パイとフィリング、コーティングチョコレートの組み合わせが、
「美冬(みふゆ)」の美味しいハーモニーを生んでいます。

「美冬(みふゆ)」は、パイ、フィリング、コーティングチョコレートそれぞれに工夫が凝らされています。
開発の目標は、「チョコレートの美味しさを引き出す」こと。

まずは、一口目。口の中に広がるチョコレートの香りはパイのおかげです。
バターを挟んだ生地を144層に折りたたんだパイは、空気の層を抱いています。
空気と一緒に香りをお口の中に広げる工夫。
サクッとした食感も、この製法のパイだからこそなのです。

フィリングとコーティングチョコレートの組み合わせに、試行錯誤を重ねました。
甘酸っぱいブルーベリーとほろ苦いブラックチョコレートコーティングの大人な組み合わせ、
少し甘めのキャラメルフィリングにはミルクチョコレートを合わせて、
まろやかな味わいに。香りが高いマロンフィリングには、
ホワイトチョコレートをコーティングして優しく繊細な味わいを演出しています。

3つの味にそれぞれのこだわり。「美冬(みふゆ)」は、
チョコレートの美味しさを楽しむためのミルフィーユです。

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ISHIYA「美冬」20周年
レジェンダリーインタビュー

製造編
 原点を受け継ぎ、
成長を続ける「美冬」

これまで「美冬」に関わった
たくさんの人々と、
この20年間をふり返って
みたいと思います。
第1話は、「美冬」の試作から
製造が軌道に乗るまでの
ストーリーです。
「美冬」誕生を間近に見てきた
工場長二人に、現在の
開発スタッフがお話を聞きました。

interviewee

北広島工場 工場長

赤山弘明さん

宮の沢工場 工場長

小針 学さん

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interviewer

北広島工場開発チーム

八木沼さとみ

手作りから工場での量産へ

八木沼 2005年当時、どのようにして「美冬」が生まれたか覚えていますか?
小針 私はまだ新人で、工場の先輩が営業部から依頼され、いろいろ試作するのを見ていました。営業部が原料メーカーと相談して、「日本一おいしいミルフィーユ菓子を作ろう」という話になったと聞いています。ISHIYAは以前から折りパイのお菓子を多く出していて、折りパイにはこだわりがあったと思います。パイ生地には、折りパイと練りパイの2種類があって、バターと小麦粉の生地を重ねて、伸ばして、折り畳んで、を何度も繰り返す折りパイの製造は手間がかかりますが、やっぱりおいしいです。

八木沼 試作から本製造となって、小針さんは「美冬」担当になったんですね。最初の製造現場はいかがでしたか?
小針 ものすごく大変でした(笑)。まず製造機械が何もなかったので、全部手作業なんです。焼き上がったパイにクリームをサンドして重ね、包丁で切るのですが、1枚の大きなパイを119個に均等に切り分ける。練りパイならまだしも、サクサクの折りパイを小さく、かつ美しく切るのはもう至難の業でした。それを当時上司だった赤山さんが、我々新人に「やっておいてね」と……。
赤山 私は別の仕事があったから(笑)。
小針 あの頃はいろいろな手作り商品を作っていましたよね。大変でしたけど、面白かったです。
八木沼 その後、手作業では間に合わなくなり、量産化に移っていったのですね。
小針 そうですね。当初は宮の沢工場で、別のお菓子の製造ラインの一部に間借りする形で「美冬」を作り始めました。それからどんどん販売量が増え、製造が追いつかなくなって量産化するために、白い恋人パーク内にあった焼き菓子の製造ラインを「美冬」専用に変更しました。ただ、そこも狭くてラインを直線に組めなかったので、コの字型に無理やり詰め込んだ感じでした。
赤山 ずいぶん狭いスペースでやっていましたよね。2017年からは北広島工場に移って、ストレートラインになりました。
八木沼 そのころ苦労したことは?
小針 ラインの仕組みづくりが大変で、機械のテストをたくさんやりました。まず、焼き上がったパイの上にクリームをこぼれないように塗る、という技術が実は非常に難しい。さらに、塗ったクリームが適量でないと次の層のパイとくっつかないので、そのバランスをどうするか、微妙な調整をくり返しました。板金で型を作るのですが、試作品を何枚作ってもらったかわかりません。
八木沼 私は初めて「美冬」のラインを見た時に衝撃を受けました。パイを焼くと普通は生地の層が水蒸気で持ち上げられて浮くのですが、「美冬」のオーブンではパイが浮かない。でも空気を含んだサクサクの食感はちゃんとある。これは一体どういうことなのかと。
小針 それは苦労しましたから。サクサクの層にはなるけれど、サンドしやすいようにフラットに抑え込む、という真逆のことを両立させるのは大変でした。
赤山 パイ1段には144層あるんですよ。つまり、パイを3つ折り×4つ折り×3つ折り×4つ折りしていくと144層になるんです。それを綺麗に焼き上げるために、いろいろな技術が詰まっています。

八木沼 コーティングするチョコレートはどうでしたか?
赤山 「白い恋人」を販売する当社のプライドとして、やっぱり質のよいものを使いたい、というのは最初からありました。
小針 機械で薄くコーティングするときに、手作業とは少し製法を変えて工夫をしましたね。
八木沼 そういった工夫や独自の技術は、現在の北広島工場でも変わらないですか?
赤山 もちろんです。機械の技術も、それを取り扱うスタッフの技術も受け継がれています。
八木沼 気温や湿度に合わせてスタッフは日々様々な調整をしていますよね。特に夏場は慎重に、焼きムラができないように。製造部の皆さんの技術と努力には、いつも感謝しています。

かつての夢が、いま実現に

八木沼 「美冬」の誕生から現在までをふり返って、あらためて思うことはありますか?
小針 ちょうど私たち若手が20年前に考えていた「美冬」が、いま実際に具現化されているなと感じます。いろいろな味や食感の違いなど、「やってみたい」と思うことはたくさんあったけど、機械の仕組みや作業工程などの問題があって、当時はそこまで踏み出せなかった。それをやろうと思ったら、現場が大変になり過ぎるとかね。それが20年経ったいま、どんどんアイデアが形になって、成長を続けている。それは現場の意思がまとまって、みんなが実現に向けてそれぞれ努力をしているからだと思うんです。初代「美冬」を作っていた人間としては、かつてやりたかったけどできなかった夢を、今後もみんなが実現してくれるはず、と楽しみにしています。
八木沼 開発部が新しい企画を出すと、製造現場は工程が増えたり、変わったりするので大変ですよね。でもISHIYAの製造部はみんな協力的なのはなぜですか?
赤山 やっぱり「自分たちでおいしいお菓子を作りたい」という思いが強いと思います。新しい味とか、組み合わせとか、そういうことができたら楽しいよね、っていう気持ちが常にあるからでしょう。

20周年記念の「おとなショコラ」

八木沼 2024年12月から20周年記念フレーバー「おとなショコラ」が販売となりますが、もともと20周年記念のために開発した商品ではなく、北広島工場の赤山さんたちと別件で進めていた企画が形になったものです。

赤山 ちょうど「何か新しいことをやりたいね」と製造部と開発部が相談していたんですよね。これまでの機械だとクリームの充填量に限界があったので、システムを一部大きく変更して充填量を増やしたところ、今までは入れることができなかった可食物(固形の材料)も混ぜることが可能になって、何か入れてみようと試作してね。

八木沼 チョコレートの原料でもある「カカオニブ」がカリカリした食感もあっていいんじゃないかと試作してみたら、予想以上においしかったです。

製造現場から

北広島工場
チョコレート製造モールドチーム

白取順子さん(1997年入社)

私は当時、工場で別のお菓子を担当していましたが、「美冬」の製造に人手がいるので、お手伝いによく駆り出されました。初めてオーブンを担当した日はちょっと緊張したことを覚えています。「美冬」ができて13年間くらい、宮の沢工場のラインがスタートしてからずっと携わってきました。今も親戚が集まる時などに夫が「美冬」を買ってきて、「うちの妻が作ってたお菓子」と言って出しています。個人的に好きなフレーバーは定番のキャラメルです。

北広島工場
 チョコレート製造「美冬」チーム

名和弥夢さん(2002年入社)

新人の頃、チョコレートのコーティングと包装の作業に関わっていました。当時のコーティング機は小型で1回に3列ずつしか流せなくて、すごく時間がかかりました。包装は現在と違う「角折り包装」(出来上がった商品に包装紙を巻き付ける方法)で、チョコレートがはみ出ると一つずつカットしなければならず、手間のかかる商品でした。今はフルオートメーションになって少し楽になったかなと思います。現在も「美冬」チームのリーダーとして毎日試食しています。これからもいろいろなフレーバーやチョコレートを試しながら、おいしい「美冬」をお届けしたいです。

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