冬景色を表現したパッケージ

水色の空に、白く染まった針葉樹。「美冬(みふゆ)」のパッケージは、
北海道の美しい冬景色を表現しています。

「美冬(みふゆ)」は、ネーミングや味の組み合わせだけではなく、パッケージにもこだわりました。
「白い恋人」に次ぐ北海道のお土産菓子として誕生したお菓子ですから、
もちろんパッケージも北海道らしさを追求したデザインとなっています。

手前に見える木々は、雪や氷で白く染まった針葉樹で、背景の水色はよく晴れた青空です。
そして、空に舞っているのはダイヤモンドダスト。
極寒の季節、晴天の朝にしか見られないといわれている
ダイヤモンドダストという自然現象をモチーフにすることで、
北海道ならではの厳しくも「美しい冬」の情景を表現しています。

当時の勲社長の娘さんの名前を冠した「美冬(みふゆ)」。
北海道らしい人気商品になって欲しいという想いは、今も受け継がれています。

legendary interviewlegendary interview

ISHIYA「美冬」20周年
レジェンダリーインタビュー

「北海道の美しい冬景色」
への思いを形に

みんなの期待が詰まった
ミルフィーユ菓子「美冬」が、
今も継承される
パッケージデザインに包まれるまで、
どんなストーリーがあったのでしょう。
当時開発に携わったお二人に、
ISHIYA北広島工場と商品企画担当の
スタッフがお話を聞きました。

interviewee

大日本印刷株式会社 Lifeデザイン事業部
東日本BIセンター北海道営業本部 営業部部長

田中 剛さん

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
東日本CXデザイン本部第1部第2課 エキスパート

中谷 亜樹子さん

x

interviewer

石屋製菓株式会社
北広島工場 エキスパート

伊藤 隆広さん

石屋製菓株式会社
営業部 広告販促担当

種市 桃子さん

時間をかけて、
納得できるものを

伊藤 デザインの制作は、どのように始まったのですか?
中谷 名前が「美冬」であることと、ミルフィーユ菓子であるという2点だけをお聞きしてスタートしました。石水勲社長(当時、以下勲社長)が長年温めていた商品名を、ついにお菓子にするということだったので、身が引き締まる思いがしたのを覚えています。ただ、最初に私たちが考えたイメージは今とは全く違う「温かみのある冬」で、暖炉の前でお菓子を食べているような、暖色系のデザインを提案しました。
田中 最初は勲社長のイメージと違いましたよね。
種市 どうやって方向転換したのですか?
中谷 凍てつくような「北海道の神々しい冬」を表現してほしい、とお聞きしてからイメージが一気に変わり、今のダイヤモンドダストがきらめく、凛とした冬景色につながっていきました。
田中 とはいえ、形にするまでかなり時間がかかりました。実は当初「美冬」の発売予定は2004年2月でしたが、丸一年発売時期を伸ばしているんです。急いで作業をして間に合わせるよりも、じっくり時間をかけて納得できるものにしよう、と言っていただきました。
種市 妥協しない気持ちが強かったんですね。
田中 そうですね。たとえば、ダイヤモンドダストのキラキラ光る感じを表現するには、当時のパッケージに使っていた技術では限界があって、いろいろな方法を探しました。あるとき、印刷技術の展示会で見つけたホログラムの技術を応用できるかもしれない、と勲社長に伝えたところ、「これしかない!」と。それからデザインのほうもブラッシュアップを続け、印刷に採用するまで試行錯誤が続きました。(※現在のパッケージは一部印刷を変更し、ホログラム印刷は行っていません)
中谷 デザインを提案するときは、すべて紙に出力し、テーブルの上にずらっと並べて勲社長に直接選んでいただいていました。すると、パッと見て一瞬で「これがいい」と決まるんですね。または、「ちょっと違うね」と瞬殺でボツになることも(笑)。
判断の速さ、直感の鋭さは、本当にさすがと思いました。というのも、実際に商品になって店頭に並ぶと、群を抜いて目立っていましたから。「やっぱりこれで良かった」と納得しました。

お客さまが
「食べるシーン」までを考える

伊藤 パッケージデザインだけでなく、個包装や商品の但し書き(「美冬」のおいしさを保つヒケツ)にも、細心の配慮があったと聞きました。
田中 当初、個包装はキャラメルのように平面の紙で包むスタイルでした。一番気をつけたのは、チョコレートでコーティングされたミルフィーユを、お客さまが手を汚さずに食べられること。「白い恋人」の個包装にもつながっていますが、常にお客さまが手に取って、おいしく食べるシーンまでを想像し、商品のすべてを設計することが大切だと実感しました。
伊藤 その後、おいしさを長持ちさせるためにピロー包装に切り替えていったんですよね。
中谷 そうですね。勲社長の「おいしく食べていただきたい」という気持ちを強く感じました。この但し書きもその表れですよね。今は箱に直接印刷していますが、当初は1箱ずつシールで貼っていました。
中谷 そういう細かな相談も、いつも勲社長と対面で時間をかけて決めていました。当時30代前半の自分にとって、とても貴重な経験だったと思います。

当初のデザインから
新しいデザインへ受け継がれるもの

種市 昨年一般のお客さまにアンケートで、「美冬」のパッケージについてお聞きしたところ、とても高い評価をいただきました。20年前のデザインなのに、全く古さを感じないと改めて思いました。
中谷 ありがとうございます。うれしいですね。その後、抹茶、ゆず、さくらなど、派生フレーバーが次々に発売され、それらのデザインは私の後輩たちが引き続き担当してくれています。
伊藤 最初の派生フレーバーは、外国人観光客に向けた免税店専用の抹茶でした。現在は一部国際線空港の免税店でしか買えないレアな「美冬」となっています。日本らしさをイメージし、さらに、チョコレートとパイ、クリームの相性を追求した「チョコレート料理」というコンセプトが生まれ、「美冬」をお皿にのせて箸を添える、といった特徴的なパッケージが誕生しました。
中谷 クリスマスやバレンタインの特別パッケージもありましたね。鮮やかなカラーリングなど、若い感性がどんどん反映されて、でも変わらない基本の部分もしっかりあると思っています。
田中 根っこの部分は同じですよね。商品自体もパッケージも20年間で少しずつ進化し、成長していますが、最初に生まれた「北海道の美しい冬景色」はずっと続いています。
中谷 あのころ社内で田中さんと私で連日喧嘩しながら意見を出して、一生懸命考え続けて良かったですね。当時、勲社長が私たちと目線一緒にして、「こういう商品をつくりたい」と思いを伝えてくれたからこそ、今も色あせない「美冬」があるのだと思います。

パッケージ一覧

他のインタビューも読む

TOP